国際学会の質疑応答でよくある3つの悩みと不安
プレゼンならある程度準備ができるからいいけど、質疑応答なんて何を聞かれるかわからない。そもそも英語が聞き取れるか不安。日本語でも大変なのにそれを英語でやるのなんて無理!そんな不安から、国際学会への参加を躊躇してしまうこと、ありませんか?
この記事では、国際学会や海外のビジネスカンファレンスでプレゼンテーションだけでなく座長やセッションオーガナイザー、司会進行を複数回やった経験から、具体的な対策を説明します。
英語初心者にもできる具体的で簡単なものがメインなので、安心して読み、ぜひ実行してみてくださいね。
質疑応答の悩みと不安の具体例
自分の専門分野のことを質問されて全く手も足も出ないということはないでしょう。でも、日本人の研究者は特に質疑応答が苦手。
「そもそも質問の英語が聞き取れなかったらどうしよう、、、」
「質問の意味がわからなかったらどうしよう、、、」
「質問はわかったけど、答えを英語で言えなかったらどうしよう、、、」
「発表に失敗して、質問が出なかったらどうしよう、、、」
こんな不安が頭をよぎったことがある人は少なくないと思います。以下、具体的にそれぞれ解決策を紹介します。
1.国際学会 質疑応答の質問が聞き取れない、意味がわからない
質疑応答の不安ナンバーワンは、英語が聞き取れないこと。聞き取れないことには、答えることができません。でも、安心してください。全部聞き取れなくても、解決策はあります。
解決策1:質問をパラフレーズして質問者に確認する。
パラフレーズと言っても、完璧にする必要はありません。聞き取れた範囲の内容をつなげて、「あなたの質問はxxxだと理解しましたが、合っていますか?」とまずは一声を返しましょう。運が良ければ相手が「あ、この人は自分の英語があまりわかってないんだな」と思って再度もっと簡単でシンプルに言い直してくれる場合があります。
そうでなくても、より具体的な情報をくれる可能性があります。聞き取れなかったことより、聞き取れた部分に目を向けて事態を進展させましょう。

解決策2:キーワードだけ聞き取って、想定問答集の中から近い答えを返す
この技を使うには、何と言っても想定問答集をきっちり作っておくことが大事です。逆を言えば、想定問答集がしっかりできていれば、英語がちゃんと聞き取れなくてもどうにか何かの答えを返すことができます。想定問答集の作り方は、この記事の後半で紹介します。
完璧を求めず、まずは対応することを心がけましょう。
合言葉は、完璧よりも「クイック&ダーティ」。汚くても、素早く。多少拙くても、まずは素早く何か英語で反応すること。
もちろん、クイック&ビューティフル、またはクイック&パーフェクトにできるに越したことはないのですが。そのためにはよく使う英語フレーズを「いつでも即出し入れできる英語の在庫」として持っておくことが不可欠です。

解決策3: 座長に助けを求める
1回目で全く聞き取れなかった質問を、もう一度言ってもらっても理解できる部分はそんなに増えないでしょう。でも、安心してください。その場合は座長が助けてくれることが多いので、座長に「助けてください」の視線を送りましょう。慣れた座長なら、質問をパラフレーズして、ゆっくりわかりやすい英語で言い直してくれます。
そのためにも、できたらセッションが始まる前に座長に挨拶し、「英語でのプレゼンテーションに慣れていなくて特に質疑応答が不安なので、サポートをお願いします」とお願いしておきましょう。
以下、一例になります。
Hello, my name is Taro Suzuki, and I’ll be presenting xxx today.
こんにちは。私はxxxのプレゼンテーションをする鈴木太郎です。
This is one of my first times giving in English, and I’m a bit concerned about fully understanding questions during the Q&A session.
私は英語でプレゼンテーションするのが初めてで、質疑応答の時に質問をちゃんと理解できるか不安です。
Could I kindly ask for your assistance if I have difficulty comprehending any questions?
もし私が質問を理解するのに難儀していたらサポートしていただけないでしょうか?
2.質疑応答の質問に英語で答えられない
これも、想定問答集を作って練習しておくことで乗り切れます。
大事なのは、「完璧な答えを考えようと無理すること」ではなく、用意した問答集の中から近い回答を探して、答えることです。
想定問答集をあらかじめ用意しておき、ドンピシャリでなくてもその中から近いものを答えましょう。
Chat GPTを使うと、あらゆる方面から質疑応答を準備することができてとても便利です。
ただ、どんな命令(プロンプトといいます)をすると、いい感じの想定問答集を作ってくれるのかは、論文の種類や、その人の原稿の構成によって違うので、一般論をここに紹介することはできません。
もし、学会発表の質疑応答準備をしたい人は、学会発表のための単発レッスンで適したプロンプトの出し方をお教えできます。
論文の長さにもよりますが、大体2レッスン分受けていただければ質疑応答の対策くらいならできます。
3.質問が出ない
学会発表をしたのに、オーディエンスから質問が出なかった。こんな光景はよく目にします。
質問が出ない理由は2つ考えられます。
1.理論整然としすぎていて、隙が無い。
完璧な理論などと言うものは存在しませんが、パッと見、筋が通り過ぎていて、質問を挟む隙もないようなプレゼンテーションをする人がいます。その場合は、質問が出ない傾向があります。
私は国際学会で座長をした経験も3回ありますが、オーディエンスから質問がなかった場合に備えて、自分が座長をするセッションの発表者の論文は事前に読んで質問を考えておくようにしています。
良い座長は、セッションを盛り上げる努力をしていて、私もだいぶ助けられた経験があるので、そうしています。
2.オーディエンスに知識がない、興味がない。
タイトルや、そのセッションのテーマに興味を持って参加してみたものの、その人の専門分野とはちょっと違ったとか、たまたま時間が空いていたから参加したようなオーディエンスの場合、質問をするのは難しいでしょう。
どんなオーディエンスが自分のプレゼンテーションを聞いてくれるのか、コントロールすることはできませんので、運悪く知識や興味がない人ばかりだった場合は、質問が出ないでしょう。
このような事態を避けたい人は、もし発表が学会の2日目以降なのであれば前日に他のセッションを回って営業活動をし、仕込みでいいから質問してくれそうな仲間を作って、参加してもらいましょう。
私はカクテルパーティやガラディナーなどで自分の研究内容を知らない参加者に話すと大抵興味を持ってくれて、セッションに参加してくれて、質問もしてもらえた経験があります。質問が出ないという事態は事前の営業活動で避けることができるので、積極的にやりましょう。
もちろん、お返しに人のセッションには積極的に参加して、どうにか何らかの質問をするように心がけましょう。
国際学会に限らず、日本国内の学会でも同じことが言えます。質問が出ない理由は他にもあるかもしれませんが、上記2つの理由は結構ありがちなので知っておけば安心です。

国際学会の質疑応答に向けた対策
発表者と座長共通の準備:想定問答を作る
発表者、座長は、あらかじめ想定問答集を作っておきましょう。
作り方は二つ。
1.誰かに論文を読んでもらい、質問を考えてもらう。
知っている研究者や、全く学術系の人でなくても構いません。誰か客観的に意見を言ってくれる人に質問をいくつか考えてもらうのがおすすめです。
そういったことを頼めるように、普段から外国に研究仲間を作っておくと便利です。
2. chatGPTに論文を読ませて、質問を考えてもらう。
このやり方は、少しノウハウが必要です。分野や発表者のレベル、立場によって異なるので具体的なやり方が「こうです」と書けないのが残念ですが、あなたに合う想定問答集を作る方法を単発レッスンでお伝えしますので、想定問答集を作れなくて困っている方はぜひご相談ください。
単発レッスン1回か2回でかなり具体的な想定問答集を作れるようになります。
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自分が発表者の場合にやるべき具体的な質疑応答の準備
発表者:プレゼンテーションを声と体を使って練習する
発表者の場合は、プレゼンテーション資料とスピーチメモ(プレゼンメモ)を作り、とにかく声に出して練習しましょう。
最初はスピーチメモを見て話してもいいですが、ある程度内容が体に入ってきたら、たまにメモから目を離して、スライドやオーディエンスを見ながら発表する練習も必ずしましょう。
口は、何度も声に出した言葉しかスムーズに本番で出させてくれません。
体は、やったことがない行為を突然本番でやってはくれません。
声に出し、体を使ってプレゼン練習したものだけが、本番で出てきてくれるのです。
自分が座長の場合にやるべき具体的な質疑応答の準備
座長:発表者の論文やアブストラクトを読んでおく
座長の場合は、事前に自分が仕切るセッションの発表者についての情報をもらえるはずです。アブストラクトまたは論文を読んで、事前に質問や感想を考えておきましょう。
発表者も座長も、学会当日の内容の8割は事前に準備ができるのです。準備できる部分はしっかり準備して、少し想定外のことが起きる可能性がある質疑応答に余力を残しておくのがおすすめです。
国際学会での質問基本マナー
国際学会での質疑応答に特別なマナーはありません。国内の学会と同じです。基本は、手を上げて名前と所属機関を言います。そしてまず発表に対するお礼やコメントをします。「示唆深い研究発表をありがとうございました」ってやつです。
よく使う便利な英語フレーズは、「発表者に質問をするときの最初の英語フレーズ」のところで紹介します。短いコメントではなく自論を長々と述べて、いつまでも質問に入らない人がたまにいます。質問をするときは、質問に集中しましょう。
どうしても質問が出ない場合、感想やアドバイスを述べるのもありです。
その場合は、「質問ではないのですが、感想を述べさせてください」「質問ではないのですが、アドバイスがあります」などと言うと良いでしょう。
質問したい人が複数出た場合、座長が「はいあなた」と指しますので、指名されてから質問しましょう。場の雰囲気によりますが、質問するときは立ちましょう。会場が小さい教室の場合は座ったままやる人もいます。
発表者として国際学会の質疑応答で使えるフレーズ
質疑応答で使える便利な英語フレーズを紹介します。必要最低限の、本当に簡単な英語フレーズになるよう、極力シンプルにしました。
一般的な「学会発表の英語」などの本に載っているものよりシンプルですが、これでも十分です。
質問の意図がわからなかったとき
もう少し具体的にお願いできますか?
Could you please be more specific?
もう一度お願いします、と言ってもおそらくあまり解決しないでしょう。
「具体的に」と言うことで、曖昧な質問がもっと明確になる可能性が高いので、この表現がおすすめです。
質問に答えられないとき
申し訳ありませんが、今ちょっと答えが見つかりません。
I’m sorry, I don’t have an answer to that question at the moment.
答えられないと逃げるだけでは芸がないので、以下のように付け足すのもおすすめです。
でも、(もしよかったら)後ほどディスカッションさせてください。
But if you’re interested, I would like to discuss some ideas later.
英語が聞こえなかった(聞き取れなかった)とき
少し大きな声で言っていただけますか?聞き取れませんでした。
Could you please speak a bit louder? I’m having difficulty hearing you.
次は、オーディエンス(一般参加者)のための質疑応答英語フレーズを紹介します。
オーディエンスとして国際学会で使えるフレーズ
発表者に質問をするときの最初の英語フレーズ
xxxなプレゼンテーションありがとうございました。
Thank you for your xxx(プレゼンを褒める形容詞)presentation.
xxxはinteresting以外の形容詞を使うのがおすすめです。
もちろんinterestingも間違いではないのですが、日本語で「興味深いご発表」が何の感想も表していないように聞こえるのと同じで、感想に具体性がありません。
・Compelling 説得力のある
・Thought-provoking 示唆に富んだ
・Informative 情報が豊富な (数値、データなどが多いプレゼンの場合)
他にもいろいろありますが、プレゼンのタイプに併せて、いくつかバリエーションを持っておくと良いでしょう。
xxについて質問があります。
I have a question about xxx(質問のトピック).
発表者の意見を知りたいとき
質問ではなく、感想を言ったり、発表者がどう思っているのか聞きたい場合もありますよね。
そんな時は、
プレゼンテーションでも触れていたxxについて、あなたの個人的な意見を聞きたいです。
Regarding the xxx you mentioned, I’m curious to know your personal opinion on it.
お考えを聞かせていただけますか?
Could you share your thoughts?
理由や説明を求めたいとき
例えば、発表の中で、どうしてそのリサーチメソッドを採用したのかや、被験者の選び方について説明していなかった場合などにこんな質問が出てきます。大体論文に書いてありますが、質問が出ないようなら聞いても悪くはないでしょう。その場合、「論文には書いたのですが、、、という補足が入ると思います。
研究に使った分析方法が気になります。
I’m interested in the analytics method you used for your research.
どうして特にこの方法でやろうと思ったのでしょうか?
Could you explain why you chose this particular method?
もらった回答について謝意を述べたいとき
発表者が答えてくれたら、シンプルにお礼を述べましょう。
ありがとうございます。
Thank you.
余裕があれば、以下のような1文も加えるとより丁寧です。
おかげでよくわかりました。
Your answer helped me understand better.
国際学会の質疑応答まとめ
いかがでしょうか?学会発表の質疑応答は、事前にかなり対策をすることができます。
これを読んで、自分の質疑応答テンプレートを作ってしっかり練習しておけば、怖がることはありません。とはいえ、研究分野によってどんなテンプレートがいいのかは違うもの。
一度、プロのサポートを受けて作っておくとその後使い回しができてとても楽になりますよ。
実は事前準備がしやすい質疑応答
ぶっつけ本番はもうやめよう!


※3時間程度(1レッスン30分 × 6回)でも「とりあえず音の見本を作りたい」というご要望にはお応えできます。ご相談ください。
