ここでは、YOSHIKIの英語について考察します。
いいとか悪いとか合っているとか間違っているとか、そういうことを言うつもりはありません。

大人になってから英語を真剣に勉強して、海外で立派に戦っているお手本として、彼の英語が日本人、ノンネイティブとしてどのような特徴を持っているのか。


YOSHIKIの英語というより、大人になってから真剣に勉強して英語を操っている大人の実態として考えれば、YOSHIKIに興味がない人にとっても参考になろうかと思います。

私はX JapanやYOSHIKIのファンでもあり、英語発音矯正を専門にしている人間で、純ジャパです。(日本生まれ・日本育ち・海外生活経験なし・語学留学経験なし)
そういう人間の主観による考察です。

物事の見方は人それぞれで、考え方や物の見方は100人いれば100通りあるので、その一つが書いてあるな、くらいに思ってください。気に入らない、それは間違っていると思う人もいることでしょうが、あくまでこれは私の感想です。


特に、声とか言語とか色のような目に見えないものに対する印象って、元々その人がDNAレベルで持っている特徴によって全然違うと思います。どれが上だとか下だとか正しいとか間違っているとかいうことではないのです。

まずは結論を先にまとめて示します。

1.発音:
ネイティブっぽいかと言ったら、発音の点ではネイティブっぽさはあまりないと思います。英語の音で発音できているものと、そうでないものが混じっています。

2.イントネーション、リズム:
ネイティブっぽさと、そうでない部分が混在。でも全体的にはちゃんと英語に聞こえて言っている内容がわかるレベルの英語イントネーション、リズムを再現できています。

3.英語表現:
表現については、非常にネイティブっぽい部分と、そうでない部分が混在しています。


これも、全ての英語インタビューをチェックしたわけではないのでざっくりした印象というレベルで、ということですが。


全体的にYOSHIKIの英語はかなりレベルが高いです。

ここから、詳細考察です。まず「1.英語発音」について考察します。

英語が英語らしく聞こえるために非常に重要な要素、それは「声質」です。


ここは非常に重要で、あまり他の人はしてきしていないと思うのですが、「声質」という要素について少し説明します。

↓YOSHIKIの話以外興味がない人はここを飛ばして読んでください↓

声質について

ちょっと寄り道しましたが、このあたりが、YOSHIKIの英語を日本人っぽい、とか平坦で英語らしくない、と批判する人がいる理由なのではないかと思います。

YOSHIKIは声質が完全にアジア人で、しかも男性

にしてはあまり響きがない細い声をしています。(いい声だとか悪い声だとかではなく、そういった特徴の声をしている、ということです)彼は日本語もかなり早くて、もそもそ喋るので、英語もそのままのトーンです。


デビュー当時からずーっとそれは変わってません。


でも、英語の音の特徴を捉えて、必要なことを必要な分だけきっちりやっている。だから通じている。

YOSHIKIの法則

「自分らしさ(声、人格)」を生かして、英語を話すときも誰か別の人になろうとしない

日本語と英語両方でインタビューに答えている動画などを見ると、いつ英語に切り替わったのかわからないくらい境界線が曖昧です。


ということは、英語も日本語も違和感なく使い分けているということでしょう。

実際に、私はYOSHIKIが日本語で話す様子の動画などをたくさん見てきましたが、日本語で言っている内容と英語の内容にあまり差がないと感じます。普通は、英語を自力で操ってインタビューなどに答えている人でも、日本語よりコンテンツが少なくなったり内容が浅くなったりしますが、YOSHIKIはそんなことありません。自分で何を言いたいのかが明確で、いつも言っていることが、自然に英語表現に変換できているようでした。

準備ができるパブリックスピーチの場ではなく、その場で答えを考えて言わなくてはいけないインタビューの場合でも、用意された原稿の時と比べて発言の質や表現の質が著しく下がることがほとんどないのはすごいと思います。

英語表現と内容の話になってしまったので、発音に話を戻します。

YOSHIKIは、LとかRの違いはもちろんちゃんとつけられているし、thやsといった重要な子音もしっかり発音できています。


特にsやzは、三単現のsや名詞の複数形、It’sのような動詞の縮約形で動詞の部分を表しています。sやzは他の子音と違って文法的な役割を担っているので、確実に音を出す必要があります。

YOSHIKIはこのあたりをきっちりできているのがすごい。彼は英語も日本も、語尾が消え気味になることが多いのですが、そんな中でも、sの音は小さくてもきっちり毎回発音しています。

文法がかなり正確な英語を操るYOSHIKIのことですから、sとzの音をきっちり発音するように気をつけているのかもしれません。

YOSHIKIの法則

文法は、できるだけ正しく再現。文法に関わる音はきっちり発音する。

rの音はどうでしょうか?日本人の英語の「ネイティブらしさ」について語る時、多くの人が「LやRの違いがちゃんと発音できている」というようなコメントをしています。


LやRの音の出来不出来が英語発音レベルの指針にしている日本人がたくさんいるみたいですね。


もちろんLとRで違う単語になってしまうことも多々あるので、発音し分けることは大事ですが、それよりも大事なのは「安定して毎回正しく発音できているか」、つまり音の安定性です。


意味が通じるか通じないかという視点では、LとRを使い分けられることが大事です。
さらに「ネイティブらしさ」という視点では、適度に脱力できていることが大事です。

YOSHIKIは、ネイティブのような「力がいい具合に抜けて安定性のあるrの発音」かと言われたらそうでもないのですが、必要にして十分なレベルで発音できています。

YOSHIKIはLとRの発音を間違えることはほとんどありません。ただ、脳の回転が異常に速いので言いたい言葉の量に対して口が追いつかず、舌がもつれてどちらの発音をしたつもりなのかわからないことがあります。これは、発音のエラーというより、頭の回転と口の動きのスピードの不一致というエラーです。

ここまで、ちょっと細かい子音の話をしました。
次は母音(半母音も)を考察してみましょう。

YOSHIKIは大体の母音は正しい音を理解できていると見られる一方で、二重母音のei( arrangementの2つめのaのところ)は認識していないようで、debut(デビュー)などは「アレンジメント(正しくはアレィンジメント)」「デビュー(正しくはディビュー)のように発音していました。

でも、大勢に影響はありません。


彼が共演したイギリスの大物バンド、chain smokers については、ちゃんとeiを発音できていて、チェインスモーカーズと言っていました。おそらく、eiの音の存在は認識してない(英語には二重母音がたくさんあります。)けど、カタカナ発音はチェインスモーカーズで、日本ではチェインスモーカーズとして知られているので、そのままの音で記憶したものと思われます。


音に敏感な人物だけあって、記憶しているものに関しては、勝手にマイルールを適用してカタカナ発音にしてしまう、ということはないようです(このケースだったら、二重母音を認識していないとしても「チェーン」と発音してしまうことがない)。


これは特筆すべきというか、日本人が見習った方が良い点ですね。

YOSHIKIの法則

マイルールを勝手に適用した発音をしない。

あと、唇の周りの筋肉をものすごく緊張させるu:( soonのooの部分)やw( sweetのwの部分)は発音しようとしてできていないのか、発音しようとしてない(音を認識していない)のか不明ですが、緊張せず、フニャッと緩んだ音で発音していました。


YOSHIKIは口の骨が少し張り出し気味というか、カーブが強いため、唇を鋭く前に出したり、唇の周りの筋肉を緊張させる母音を出しにくい形状をしています。骨が邪魔をして、唇の周りの筋肉の可動域が少なめなのです。

すごく極端にいうと、(顔は全然似ていませんが)テニスの大坂なおみさんみたいな口のタイプに近い骨の形状をしているので、音がこもり気味になるのです。これは持って生まれた特徴ですから仕方ありません。


有名な起業家だと、イーロン・マスク(奇しくも、TwitterをXと改名させた人ですね!)が似たタイプの口の形状や話方をしています。Chat GPTで有名になったOpen AIのサム・アルトマンもややYOSHIKI寄りの話し方だと感じました。ただし彼はそんなに骨のカーブは強くないです。

ネイティブであっても、音がこもり気味でパブリックスピーチに支障があるということで、スピーチ矯正をしている人もいます。社会的責任がある人であればあるほど、プロレベルが高い人であればあるほど発音やスピーチの矯正をしています。

YOSHIKIの場合、日本語もそのままなので、英語も特に気にせずそのままにしていると思われます。


完璧主義の彼のことですから、そのせいで不自由して、修正が必要と思ったら徹底的にやるでしょう。しかし、やってないということは必要性を感じていないということなのでしょう。

次に、「2.イントネーション、リズム」について考察します。

YOSHIKIの英語のイントネーションやリズムは、ネイティブっぽさと、そうでない部分が混在しています。でも全体的にはちゃんと英語に聞こえて言っている内容がわかるレベルの英語イントネーション、リズムを再現できています。

まずは音の長さについて見ていきましょう。
英語は、有声音の子音の前の母音は、無声音の子音の前の母音より長めに発音するというルールがあります。


ルールというか、自然の法則でネイティブはこれを無意識にやっています。無声音より有声音の方が声を出すときにちょっと力を入れないといけないので、その分だけ前の母音の音に負荷がかかって長めになるのです。
無意識にやっているせいか、ほとんどのネイティブの先生は、日本人の英語発音を指導するときにこの音の長さが足りない点をきちんと指摘しません。「ここの母音を長く」という具合に個別現象として治すことはあっても、全体の法則を説明しないので、習っている人はパターンが変わると応用できないのが難点です。
実際に発音指導をしていて、音が短すぎる人はとても多いです。

badとbatのaはどちらも同じ音ですが、badのaの方が、batのaより長くなります。

YOSHIKIは、あまりこの音の長さを意識して使い分けていないように聞こえます。

でも、単語の強く発音するべきところがきっちりできているし、音節の数も合っている(日本人は多すぎるか少なすぎる場合が多い)ので、ちゃんと発音している単語がわかります。


次に、英語のリズムの話をします。これ以上文章が長くなるといけないのでリズムとは何かという説明は割愛しますが、簡単に言ってしまうと、英語は長さ、強さが不均等で、日本語は均等割です。音に対する負荷の掛け方やタイミングが全く違います。

また、大きな違いは、日本語は語尾が弾まないでピタッと止まるのに対し、英語は弾みます。
この辺りは文字で表現するのが難しいので、いずれ動画とかイラストで説明します。

今回は、「英語と日本語はリズムの基準が全然違う」ということだけわかっていただければOKです。


で、YOSHIKIのリズムは日本語っぽい均等割部分と、英語らしさ満点の不均等部分が混ざっています。

具体的には、英語らしい決まり文句を話しているときは、とても英語らしいリズムで話していて、普段あまり言わないような内容を、作文しながら話している感じの時はやや日本語よりで均等割、強弱の差もあまりない感じになっています。


でも、YOSHIKIは全体的にネイティブライクな決まり文句を使う割合が日本人としては高めなので、全く日本人訛りの理解しづらい英語、という感じにならず、いい感じのバランスになっています。


YOSHIKIがネイティブな英語ではなく最強のヨシキングリッシュをしゃべっていると思っています。

最後に、「3.英語表現」について。
YOSHIKIの英語は、前述したように、表現については、非常にネイティブっぽい部分と、そうでない部分が混在しています。彼は作詞作曲、プロデュースもしているし、ビジネスもしているので結構複雑な質問を受けることが多いですよね。

ですから、毎回用意した英語表現で対応できるわけでではなく、作文してその場で話していることあります。特筆すべきは、作文して話している英語の質が良い点です。

英文法をきっちり勉強して理解していると思われる英語を話しています。特に、冠詞は多くの日本人に比べるとしっかりつけていて(必要な場合)、前置詞とか細かいところにまで気を配っているのがYOSHIKIらしいです。


自身でも、自分の音楽作りはdetail-orientedだと言っていましたが、クラシックがバックグラウンドにあり、ピアノを弾くのでそういった細かい点への配慮をしながら言葉を進めていく能力が高いのかな、と思いました。


作文しなくて良い部分についてはネイティブライクな決まり文句(チャンク)を使っています。チャンクに関しては、音もそのまま英語で覚えたとみられ、リズム、イントネーション、発音もとても英語らしいです。

when it comes to のような表現をサラッと使ったり、first of all, on the other handといった転換表現を巧みに挟み込んでいます。それから、with such an incredible bandの冠詞をしっかりaではなくan(iの前だから)にしたり。

もっとわかりやすい例を挙げると、「自分の友達」という時、多くの日本人はmy friendsとかmy friendと言います。もちろん英語として間違ってないしそういう使い方をする文脈もありますが、YOSHIKIは状況にあわせてfriend of mineがサッと口から出てきていてすごいと思いました。

また、eachの後を単数形にするとか(複数形にしてしまう人が多い)、one of the best xxxのxxxの部分の名詞をちゃんと複数形で発音していました。私もよくやってしまうんですが、これ、ネイティブでも間違える人がいます。単数形にしてしまう人、結構いるんですよね。

YOSHIKIは色々なインタビューを見ていても、文法の間違いや語法の間違いが少ない方です。
言語学者や、外国語の専門家も口を揃えて言っていることですが、書く時にはやらない文法や表現の間違いが、話す時には出てきてしまうことがあります。


大事なのは、そういった間違いを認識して、書く時や、次に話す時に修正できる能力があることであって、間違わないことではありません。

YOSHIKIの英語はどんどんよくなっているので、これは私の想像ですが、アメリカに住んでいるからと慢心せず、今でも新たな単語、知らない表現に出会ったらちゃんと調べて覚え、語彙や表現力を磨く努力をしているのではないでしょうか。

以上、YOSHIKIの英語について考察してみました。


結論:ヨシキングリッシュはそのままで十分。

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