私の周りには、結構本格的な日本語を操る英語ネイティブの教養人が何人かいます。
その人たちが日本人もいる場で英語を話しているときに、なぜか日本語のまま使う言葉がいくつかあります。
その一つが、「さすが」です。

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日本語は、色々なニュアンスの言葉を1つの表現で表せてしまうので便利です。でも、逆の目から見ると、それを英語にするとき、正しいニュアンスの単語や表現を見つける力を持っておく必要がある、ということです。
難しいけど、日本人もネイティブも結構うまいこと使いこなしてるなあ、と思う表現の代表が「すみません」です。

すみませんは、
謝る時に使えば “I’m sorry.” だし、
呼びかける時に使うのであれば、”Hello?” とか、”Excuse me?” だし、
感謝のすみませんだったら “Thank you.” になります。
謝罪も呼びかけも感謝も全て「すみません」で済んでしまうなんて、すごいですよね。

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「さすが」も、いくつかの意味や使い方がある言葉ですが、とても英語にしにくいというか、ドンピシャりな表現がありません。「さすが」と言っても、その人の資質を誉める時と、やった事の結果やお手並を誉める時とでは使う英語が違います。
「さすが、抜け目がない」という感じで、手放しで褒めるというより少し皮肉が入っている場合もありますよね。これも使う英語が誉める時とは違います。
「さすがにそれはないよね」という感じで、もはや日本語で用法を説明するのすら難しい「さすが」の使い方もあります。
この「さすが」に関しては、私の周りの日本語が達者なネイティブたちは、「さすが!」と日本語をそのまま使っています。
理由を聞いたことはありませんが、彼らからしても、ドンピシャりな英語の表現がないと思っているのかもしれません。

「めんどくさい」も日本語のまま使っているネイティブがいます。
もっと有名なのは「もったいない」ですよね。随分昔になりますが、ケニアのワンガリ・マータイさんが提唱して、一躍有名になりました。

「さすが」も「もったいない」も、他の日本語のまま使われている言葉も、全く英語に訳せないということはありません。でも、あえて日本語のまま使っているということは、日本語も英語も理解できる人にとって、しっくり来る表現がないということなんだと思います。
全ての英語が日本語にそのまま等しく置き換えられるわけではないし、逆もまた然り、ということです。日本語をそのまま英語に、英語をそのまま日本語に置き換えられないことを心の底から理解するのには、英文和訳が最も効果的です。
よく、人の翻訳に文句をつける人がいますが、批判するだけではこれっぽっちも語学力は上がりません。自分だったらこういうふうに英語、あるいは日本語にするだろうな、という感じで、動画や映画やニュースの字幕を見るときに実際、もっといけてる訳をしようとすると、両方の言語の違いに対する理解力が上がります。
ピッタリくる英訳や日本語訳ができた時って、本当に気持ちがいいですよ。いつでもどこでも無料でできるので、ぜひ試してみてください。

ちなみに、秋じゃけ、とか、新じゃが、新玉ねぎ、春キャベツあたりも、うまく英語に変換できないし、その良さを理解してもらえない日本の風物詩です。この季節ものの魅力を外国の人にちゃんと理解してもらえるように説明できると、その人の英語力も本物だなあと思います。
食べ物の描写も日本は独自なので、外国のお料理番組動画で発見するのも楽しくておすすめです。