日本独自の「カタカナ英語」文化により、英語でのコミュニケーションに支障をきたすことがあります。「コスパがいい」を “good cost performance” と訳したり、「ブラック企業」を “black company” と表現して通じなかった経験はありませんか?
本記事では、カタカナ英語のメリット・デメリット、克服方法、活用法を解説します。
特に注目すべきは、2024年エミー賞授賞式での真田広之さんのエピソードです。
この記事は、英語発音矯正の個人指導や大学で英語の講義を長年担当している専門家の経験を総動員して書きました。ネットやChat GPTから引っ張ってきた切り貼りの記事ではありません。
読んでくださった方のお役に立てたら嬉しいです。
カタカナ英語と和製英語の基礎知識
カタカナ英語や和製英語は、日本人にとって馴染み深い表現ですが、英語ネイティブスピーカーや、日本の文化を知らない人には通じないことが多々あります。カタカナ英語、和製英語は悪いことばかりではなく、メリットもあるし方法次第では活用して英語力向上に役立てることができます。これらの言葉が持つデメリットや海外での誤解の理由を解説しながら、英語表現を正しく使うためのコツや学習方法を紹介します。特に2025年に向けて英語力を上達させたい方に役立つ情報をお届けします。
カタカナ英語と和製英語の違いとは?
カタカナ英語
カタカナ英語は、英単語を日本語の音韻体系に合わせたカタカナで表記したものです。例えば、「ノートパソコン(laptop)」や「コンピュータ(computer)」がその例です。

カタカナ英語と和製英語の違い:
カタカナ英語は、英語の用法としては正しい言葉を、間違った発音(カタカナ発音)で使っているもののこと。用法そのものが間違っている和製英語とは異なります。
カタカナ言葉の多くは発音が英語とは異なり、ネイティブスピーカーには伝わりにくい場合があります。
和製英語
和製英語は、日本で作られた独自の英語風表現を指します。「ブラック企業(exploitative company)」や「ガソリンスタンド(gas station)」のように、英語圏では使われていない言葉が多く含まれます。これらは日本特有の文化や価値観を反映しているため、海外では理解されません。
冒頭で例に出した black companyという表現は、英語の世界では使いません。ホワイト企業(white company)も、もちろん使いません。
通じないカタカナ英語と和製英語の例
実例を挙げてみましょう:
| カタカナ語 | 和製英語 | 正しい英語表現解説 |
|---|---|---|
| ブラック企業 | exploitative company | 劣悪な労働環境を持つ企業を指しますが、英語では「black」は使いません |
| ノートパソコン | laptop | 日本語では「ノート型のパソコン」を意味しますが、英語では “laptop” が一般的 |
| コンセント | outlet / socket | 電源プラグのことですが、英語の “consent” は「同意」を意味します |
| ワンピース | dress | 英語では「ワンピース」は「1つの部分」を意味します |
| ガソリンスタンド | gas station | 和製英語で、英語圏では「gas station」が一般的です。 |
| バイキング | buffet | 食べ放題の意味で使われますが、英語では「ビュッフェ」が正しい表現です |
| オーダーメイド | custom-made | 和製英語で、英語では「オーダー」はあまり使われません |
カタカナ英語が通じない理由
1. 発音の違い
カタカナ英語は母音と子音の発音が英語とは異なります。日本語特有の平坦なイントネーション(音と音の強弱の差や長さの差がない)や日本語訛り(子音の後に不要な母音が入っている、必要な音が出ていない、など)が原因で、ネイティブスピーカーには聞き取りづらい場合があります。たとえば、「プラスチック(plastic)」は、英語では「プラスティック」に近い発音です。
発音記号で表すと、/ˈplæs.tɪk/で、/ae/(スペルがaの部分)を強く発音します。
音の数は2つです(plas-tic)
日本人がカタカナ発音すると、iのところを強く発音してしまったり、pu la su chi ku のように不要な母音(pの後のu、sの後のu, kの後のuなど)を入れたり、音の数を5つに増やしてしまうなど、本来の英語の発音とは全くかけ離れたものになってしまいます。2つが5つに増えたら、発音の良し悪しの前に、全く別物にしか聞こえません。だから通じないのです。
例えば、布団(ふとん) を「ふっとーぬ」と言われたら何のことを言っているかわかりませんよね。
それと同じです。

英語として通じるように発音するためには、最低限守らなければならないことがあります。
1.音節の数
2.強く発音する母音(一般的に、「アクセント、強勢」と理解されています)
この二つがあっていれば、それぞれの音が多少まずくても通じます。
2. 意味の違い
カタカナ語や和製英語は、英単語の意味とは異なるニュアンスで使われることが多いです。「ブラック企業」や「マンション」は日本特有の意味を持つため、英語圏ではそのままでは通じません。
3. スペルの問題
カタカナ英語は元の英単語のスペルが省略されたり変化したりしているため、書き言葉としても理解されないことがあります。正しいスペルを確認し、使い分けることが重要です。
4. 文化的背景の違い
カタカナ英語には、日本の文化や価値観が反映されています。英語圏では使われない独自の表現が多く、背景を知らない相手には誤解を招くことがあります。
ハリウッド俳優、真田広之の英語力は?
2024年、真田広之主演ドラマ『SHOGUN 将軍』がエミー賞史上最多18部門受賞して、世界中の話題をさらいました。
(エミー賞は、アメリカ合衆国で放送される優れたテレビドラマ、番組、テレビ業界の功績に与えられる賞です。アカデミー賞は、映画のための賞です。)
私は映画ウルヴァリンの時から、真田さんの英語に対する努力や実力、日本のことを正しくハリウッドに伝えるための地道な努力に注目し尊敬していたので、この受賞と、世界から日本のコンテンツが認められたことは大変嬉しかったです。
しかも、真田さんは40代(推定)から英語学習に真剣に取り組み、海外のバラエティトークショーで笑いをとりながら自力で英語で対応するほどの力をつけました。
要するに、真性の純ジャパの成功例にして、理想的なお手本だということです。
真田広之さんの英語は、素晴らしいの一言。特に発音は、ノンネイティヴとしての理想形と言っても過言ではありません。
その素晴らしさを、違いがわかる人はわかるようでメントール英語発音教室に通っている外資系自動車メーカーで海外営業をやっている生徒さんも「英語はある程度できるけど、真田広之のような発音になりたい」と、具体的な目標をお持ちです。私は、変にネイティブっぽさを出そうとしている発音ではなく、ノンネイティブとして海外の人からも尊敬され、喜ばれる真田広之さんのような発音をお教えしています。
彼の発音や英語力については、長くなるのでこの記事では割愛し、また別記事に書くことにしますが、すでに書いたものをご紹介しておきます。

ネイティブ並みと言ってもいいくらいの英語力を持つ真田広之さんですら、和製英語が通じないシーンがあったのを私はめざとく見つけてしまったので、紹介します。
真田広之、2024年エミー賞授賞式で英語が通じない経験
エミー賞授賞式では素晴らしいスピーチを披露した真田さんですが、賞の合間に受けていたインタビューの中で、インタビュアーに通じなかった英語がありました。
それは、「オリジナル」です。
彼は当日、クリスチャン・ディオール(フランスのラグジュアリーブランド)の黒いタキシードスーツを着ていました。そこに合わせたのは、斜めに錦糸ラインが入っているネクタイ。一見地味ですが、この抑制された華やかさが将軍らしい。
インタビュアーが、「今日は完璧な仕立て具合で素晴らしい、あと少しでも太ったら着こなせなかっただろうね(意訳)」と褒めると、
「ありがとう。ディオールと、オリジナルのネクタイなんだよ。」
“Dior and the original tie.”
と答えました。
するとインタビュアーは訝しげな顔で、
“The original tie? What does it mean?”(オリジナルのネクタイ?どういうこと(意味)?)
と聞いたのです。
真田さんは、“hand-made”「ハンドメイドなんだ」と答えました。
するとインタビュアーは、hand made tie?と繰り返し、あまりまだ意味がわかっていない様子。
日本人だったら、オリジナルだ、と言われたらオーダーメイドだとピンときますよね。
オーダーメイドのネクタイだ、という意味なら、今回の場合tailor-made と言えば通じたはず。
tailor-madeは「オーダーメイドの」、「特製の」という意味です。
確かにオーダーメイドなら独自のものなので、original(独自の)ということなのですが、original tieといっても、ネイティブにはtailor-made tieだと理解されないのです。
この後、真田さんがこのネクタイについて、彼が将軍で演じた、徳川家康にインスパイアされた武将・吉井虎永のカラーである黒に、甲冑などに使われる金を取り入れたデザインなのだと意味を説明すると、ようやく司会者も理解したようでした。
ちなみに、共演女優の澤井杏奈さんは、別のインタビュアーにオーダーメイドのドレス(ヴェラ・ウォンのもの)について説明するときtailor-madeと言ってすんなり通じていました。彼女は幼少期から英語圏で育っていて、英語は母国語のようなものなので、言葉の感覚がネイティブに近く、こういった和製英語で通じないという経験はあまりないと思われます。
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私はこの部分に気づいた時、「ああ、真田さんくらいレベルが高い人でもまだ和製英語で通じない経験をすることがあるんだなあ」と思い、英語を上達させようと頑張っている日本人の皆さんとシェアしなくては、と思いました。
英語が通じるようになり、ネイティブに近いレベルになっても、こうして経験を通じて「これは英語の世界では使わないんだな」とか「今度はこういう風に言おう」と学習して、一生涯磨いていくものなのです。
英語は、誰も治してくれません。経験や勉強を通して自分で発見し、修正していくことで蓄積し、磨いていくものなのだと改めて思いました。
英語表現を正しく使うコツ
1. 発音記号を学ぶ
英語の発音記号を学び、母音や子音の発音の違いを理解することが重要です。たとえば、bottle(ボトル)は「バロォ」に近い発音になります。
2. カタカナ英語や和製英語の一覧を活用
「カタカナ英語 本」や「和製英語 一覧表」を参考にして、正しい英語表現を確認しましょう。日常英会話で使えるフレーズを知ることで、自信を持って話すことができます。
3. シンプルな英語を使う
カタカナ英語に頼らず、シンプルな英語表現を心がけましょう。「プレゼン」ではなく「presentation」、「アジェンダ」ではなく「meeting agenda」など、正確な英語を使うことで誤解を防げます。
4. 発音記号を調べて、正しい発音で覚える
1.で紹介した「発音記号を学ぶ」ことに加えて、単語の読み方を発音記号で覚えることで、カタカナ英語ではなくて正しい英語発音で蓄積することができます。英語は日本語と違ってスペルが音(発音)を表していません。
漢字が書けても読み方がわからなかったり、間違った読み方で発音しても通じないし聞き取れません。土産(みやげ)を「どさん」と覚えているようなものです。発音記号を習得して、毎回ちゃんと調べて正しく覚えてこそ英語は使える資産になります。
まとめと効果的な英語学習のポイント
この記事で見てきたように、カタカナ英語や和製英語の問題は、ハリウッド俳優として活躍する真田広之さんのような高度な英語力を持つ話者でさえも直面することがあります。これは日本人英語学習者にとって重要な示唆を与えてくれます。
効果的な英語学習のために、以下のポイントを意識しましょう:
- 音の基礎を重視する
- 英単語の音節数を意識し、カタカナ読みによる余分な母音の挿入を避ける
- 強勢の位置を正しく覚え、アクセントをつける
- 発音記号を学び、正確な発音を身につける
- 和製英語への依存を減らす
- “black company” → “exploitative company”のように、正しい英語表現を学ぶ
- 日本独自の表現は、海外の人に説明できるよう言い換えの表現を覚える
- オーダーメイドは “tailor-made” など、実際に使われている表現を使う
- 継続的な学習姿勢を持つ
- 真田広之さんの例のように、高度な英語力があっても常に学び続ける姿勢を持つ
- 通じない経験を次の学習機会として活かす
- 発音や表現の誤りを恐れず、積極的にコミュニケーションを取る
- 専門家による個人指導を活用する
- 独学では気づきにくい発音の癖を、専門家に指摘してもらう
- 自分の発音の問題点を客観的に理解し、効率的な改善方法を学ぶ
- カタカナ英語から脱却するための具体的な練習方法を身につける
- 真田広之さんのような、ノンネイティブとして理想的な発音を目指すためのガイダンスを受ける
最後に重要なのは、英語は一朝一夕には身につかず、経験を通じて自分で発見し、修正を重ねていく必要があるという点です。誤りを恐れず、継続的な学習と実践を通じて、着実に英語力を向上させていきましょう。特に発音の基礎を作る段階では、英語発音矯正の専門家による個人指導を受けることで、効率的かつ効果的に学習を進めることができます。


