国際学会で発表をした経験があり、それについてブログなどで情報を共有しているのは見たことがありますが、セッションチェアをした人のブログというのは見たことがないし、今後、国際学会でセッションチェアをする日本人学者が増えないと困る(国力が弱体化するから)ので、セッションチェアをすることになった人が困らないようにブログに書いておきます。
学会によって多少しきたりなど違うと思いますが、そんなに大きく変わることはないかと思うので、参考になればと思います。

まず、国際学会でセッションの座長(チェア)がどうやって任命されるのか。
(※チェア:性別を表すポジション名を使うのはもう時代遅れなので、chair manという言葉は最近めっきり聞かなくなりました。chair personとかsession chairを使ってる人が多いと思います)
経緯は色々あるでしょうが、私の場合は博士論文の指導教授が何回か参加経験のあるヨーロッパ系の国際学会に参加し、私が発表したのを見ていた開催委員会のイギリス人の教授から依頼を直接受けました。

最初は、翌年に開催する時、「ブランディングに関するセッションを一つ設けるから、そこの企画と執行を他のイギリス側教授達とやってほしい、」と言われ、外国の5名の教授達と共にセッション趣旨を考え、そのセッションに該当する発表者の論文査読と発表論文の選定などを経て(半年くらいかかりました)開催当日を迎えました。
どういう経緯かまったく覚えてませんが、イギリス側の教授と私で、当日にセッションチェアをすることになりました。
と、こ、ろ、が!
もう一人のイギリス人教授がまさかのバックレ。なのかわかりませんが、とにかく来なかったんです。
さらに、私の指導教授も、現れなかった。
デビュー戦なのに、孤立無援で放置されたわけです。

たった一人で5人の発表者の紹介をし、質問をオーディエンスから引き出し、質問が少ない発表者の時は、自ら質問をする。しかも、会場には百戦錬磨の教授とか研究者とか実務家とかがいるわけです。
楽ではありませんでした。もちろん会場に日本人はひとりもいないし。
でも、良い点は、外国の学会では女性だからってナメられたりしないことです。
その人の座長としての力がちゃんとしていれば、みんなそれなりの敬意を持って対応してくれます。

私は5人の発表者の論文を事前にしっかり読み込み、質問も考えておいたし、今後の研究に対する提案も考えてあったので、それを伝えて、発表者からもオーディエンスからも喜んでもらえました。

偉い教授だろうが、ネイティブスピーカーだろうが、発表者とオーディエンスにとって意味のあるセッションにできなかったら、誰からも相手にされません。
そういう意味では、きちんと準備をして臨んだ国際学会チェアデビュー戦は、うまく行ったのだと思うし、ここで紹介した対策はあっていると思います。

そして、このときの評判がよかったので信用されて、今年も同じ学会でセッションチェアを依頼されました。場所はロンドンです。
今度は、私の指導教授とセットではなく、私が指名されました。
連続ご指名は、客観的な評価ですから、とても嬉しいです。

人の論文を読んで評価するのは大変ですが、それはお互い様。
私の論文も、どこかの誰かが無償で査読してくれてるから、研究者として実績を作ることができるのです。

と、いうわけで、セッションチェアになったら、、、
・自分のセッションでの発表者の論文をしっかり読み込み、質問と提案を考えておく
・オーディエンスを盛り上げる(巻き込む)

というのが必要な準備です。

あと、日本人はあまり英語でパブリックスピーチ(特に司会系)をする機会がないと思うので、無料動画サイトなどで、シンポジウムとかパネルディスカッション動画をたくさん見て、仕切り方をシミュレーションしておきましょう。良い司会者がいると、そのセッションはうまくいきます。

この記事はアメブロ人気投稿の再編・再掲です。