洋画や海外ドラマ、ネイティブスピーカーが英語をナチュラルスピードで話すと聞き取れない。そう思ったことはありませんか?後でスクリプトを見ると知っている単語や英語フレーズばっかり。知っている英語なのにどうして聞き取れないの?耳が悪いから?

いいえ、違います。
ネイティブスピーカーは、英語を書いてあるとおり(スペルの通り)に発音しないから聞き取れないんです。

ネイティブスピーカーや英語が流暢な人は、音を変えたり落としたり(発音しなかったり)します。この現象を「リダクション」と言います。

日本人がネイティブスピードの英語を聞き取れない大きな理由の一つは、リダクション。この記事では、英語のリダクション(脱落・弱化)の主な規則・ルールと、練習方法について英語発音専門家が解説します。

発音矯正の
専門家

以下のような人は、今すぐリダクションの練習をすると効果を感じられます。

・ネイティブスピーカー同士の雑談英語が聞き取れない
・英語が早すぎるように聞こえることがある
・洋楽、洋画や海外ドラマの台詞が聞き取れない/はっきりと理解できない
・リスニングの練習をしている時、何度聞いても聞き取れない部分がある
・ネイティブが話す英語の音で発音しない/音が変化するのは知っているけど、いつ、どんな風に変化するのか体系的な知識がない
・発音に自信がない/確信が持てないまま音読を続けている

英語のリダクション(reduction)とは?

リダクションをものすごく簡単に説明すると「英語の音を軽くしてペラペラ話せるようにすること」です。
reduceは「減らす」と言う意味の動詞。英語のスペルに書いてあって、発音されるべき音を発音しなかったり、楽に発音できる音に変える(弱化させる)ことをリダクション(reduction)と言います。

日本語で同じように音を飛ばしたり変えたりしますよね。
「それはそうだ」と言うのが面倒だから、「そりゃそーだ」って言いませんか?

英語も同じで、ちゃんと全部(スペルに書いてある通りに)発音すると面倒だから、ペラペラっと軽く発音できるように音を変えたり飛ばしたりして「仕事減らし」をするんです。

日本人

それはそうだ(めんどくさっ!)

帰国子女の
イカラフル

そりゃそーだ(楽)

例えば、Tom and Dick are friends. トムとディックは友達だ。と言う時、文字通りに全てちゃんと発音したら、以下のようになります。

/tɒm ænd dɪk ɑːr frɛndz/

無理にカタカナで表記すると トム アンド ディック アー フレンズ のように発音します。
でも、ネイティブは普段会話する時こんな風にちゃんと全部の音を発音しません。

/tɒm n’ dɪk ɑr frɛndz/  トマン ディック アー フレンズ

のように音を変えたり減らしたりしてペラペラっと発音します。または、より音を減らして

/tɒm n’ dɪk r frɛndz/ トマン ディッカー フレンズ

のようになってしまうのです。

今回は、ネイティブがリダクションしまくって元のスペルとはかなり違う音になることをわかっていただくだけにして、どの音がどんな風に変化したのかについては割愛します。スペルと全然違う発音をするので、知っている英文でも聞き取れない理由がわかっていただけたでしょうか?

どうしてネイティブはリダクションをするの?

すぎもと

いちいち文字通り発音していたら、ペラペラと話せないからです。
要するに、めんどくさいからリダクションするんです(笑)
リダクションしないと、ネイティブでもそんなにペラペラ早く話せません。
私達ノンネイティブからすると、「聞き取りにくくて迷惑だからリダクションはやめてくれ、、、」と思うのですが、実際自分ができるようになると、早く話せるし、ネイティブの英語がそのまま聞き取れるから便利です。
でも、リダクションのルールを知らなかったり、できなかったりするとかなり迷惑ですよね。

イカ

確かに。

英語のリダクションをマスターするメリットは?

英語発音の
専門家

学校の英語ではリダクションなんて習わなかったと思います。

「そんなに大事なら、学校の英語で教えてくれるはず。どうしてリダクションなんてやらなきゃいけないんだ!」

と思っていませんか?リダクションをマスターするととても良いことが2つあります。

メリット1:「通じる英語」が身につく

リダクションした英語=ネイティブが話している英語

リダクションした英語を話せるようになると、通じるし、英語らしさが増します。

メリット2:ネイティブスピーカーの英語を聞き取れるようになる

リダクションした英語=ネイティブが話している英語

英語発音の
専門家

↑大事なことなので2回言いました

リダクションした状態で英語を話せると、ネイティブスピードの英語をそのまま聞き取れるようになります。ただし、知らない単語や表現の意味が自然にわかるようにはならないので、それは覚える必要があります。

でも、音が聞き取れると記憶に残すことができます。記憶に残すことができれば、意味を後で調べることができます。この違いは大きいです!聞き取れないものは覚えておくことができませんから、何度聞いてもその都度ゼロクリアになってしまいます。せっかく英語を聞くことに時間とエネルギーを使ったのに何も残らないなんて勿体無い話です。

英語のリダクションの規則・ルール

細かい変化のルールはさておき、最低限知っておいた方が良いリダクションのルールを紹介します。
※苦肉の策でカタカナ表記しますが、ここに書いたカタカナで発音しても正しい音にはならないので、「イメージ的にこんな感じ」くらいに考えておいてください。英語の音をカタカナで表現するのは95%不可能です。

【1】発音しない音がある

  1. 語頭のh
    例)herb ハーブではなくhを消して、アーブのように発音する
  2. 語の真ん中、語尾のt/d/p/b/k/g
    例)stopのpは発音しないので、ストップではなく、ストッ_(pの部分は_音を出さず「溜め」を作って黙っておく)

【2】くっつけて2つの音を1つで出すパターンがある

  1. リエゾン
     sick cat のように同じ子音同士が前後する(k+k)時は
    シック キャット と発音しないで、シッキャットのようにkを1つにまとめる(リエゾンさせる)
     
    ※リエゾンのルールは全部で4パターンありますが、今回は話を単純化するために割愛します。
  2. 口蓋音化
    Could you を「クド ユー」ではなく「クジャ」のような音に変化する。
    dとyをそれぞれ発音すると手間がかかって大変なので、「ヂャ」のように、上顎に音をぶつけたみたいなかたい音(口蓋音)1つでまとめて発音する。
    口蓋音こんな発音記号の音です

【3】日本人が間違って覚えている音がある

  1. s/th/f/v
  2. 語尾のL(Dark L)
    例)feelはフィー「ル」ではなくフィーョ のように発音する
      appleはアップ「ル」ではなくアポォのように発音する
  3. 弱母音(あいまい母音) [ʌ]と[ə]
    口をほとんど開けずに、唇の周りの筋肉(特に下唇の周り)に力を入れて発音する。

    ネイティブがカラオケと発音する時にカリオキのようにはっきりしない口の開け方で発音する時の音です。日本語の「ア」や「オ」や「ウ」、またはその間の音のような説明がありますが、日本語の音には全く似ていなくて存在しない音なので、「日本語の音で聞き覚えがある音で発音したら間違い」というのは一つの指標になるでしょう。

    xx%と具体的に言うことができませんが、発音される母音の中で、強勢(stress)を置かないものは、かなり高い割合で弱母音化されます。

    なにしろ日本語の音と全く似ておらず、自力でマスターするのが少し難しいので、この音だけでも、発音のプロの手をかりて正しく発音できるようにしておくことをおすすめします。

【4】発音してはいけない音がある

  • 子音単体の後の余分な母音
    子音の後に存在しない余分な母音を発音してしまう日本人が多くいます。これは、英語をローマ字読みする時に、常に子音と母音がセットで1つの音になっているため、子音だけで終わらせると不安になってしまうからです。つい何かローマ字的な音(子音と母音が常に1セットで一つの音)を作ろうとして、余分な音を発音してしまう人が多いのです。

    例)bad /b/ /ae/ /d/ なのに /b/ /ae/ do/ と発音(赤字のoは存在しないので発音してはいけない)バッドではなくバッ_(_はdの音を出すフリだけして実際音は出さず、無音で間を作る)
音の違いがわかるイカ(帰国子女)

確かにそういう発音の人いますね。

こんなに違います
英語発音の
専門家

英語で発音すると本当は音が4個なのに
カタカナ発音だと8個〜最大12個になって通じません

リダクションの注意点

リダクションは、「絶対にこの場合はこうなる」といった厳格なルールではありません。人によってどのリダクションをどの程度使うのかは違います。また、言葉は時代によって変化します。今回紹介したリダクションのルール以外にも新たなものが出てくる可能性があります。

と、いろいろ脅かしましたが、今回紹介した程度のことを知って、自分でもできるようになればかなりネイティブレベルの崩した英語を聞き取れるようになるし、通じやすく、英語らしい音を出せるようになります。やらない手はないでしょう。

早く効果が出るリダクションの練習方法

リダクションをマスターするためには、まず発音矯正をして、英語の音を正しく発音できるようにすると効果があります。リダクションするには、まず正しく発音できる必要があります。発音矯正をしてからリダクションの練習をすれば、最速で効果を出すことができると言うわけです。

英語発音の
専門家

リダクションをマスターし、通じて英語らしい音を出せるようになりたい人、ネイティブスピードの英語を聞き取れるようになりたい人はぜひしっかり発音矯正をやってみてください。

さらに、英語の音読も、正しい発音でやると圧倒的に効果があります。正しい発音と音読練習については、こちらの記事に詳しく書いてあるのでぜひ読んでみてください。

まとめ

通じる英語、聞き取れる力をつける鍵の一つである「リダクション」のルールや練習方法などについて説明しました。

リダクション暗記したり深く理解するより、「サッと知って、正しく繰り返し実践する」のがおすすめです。また、リスニング力を上げるためには、「この英語ではどんな音がどんな風に変化しているのか、リダクションされているのか」を念頭に置いて「意識的に」聞いて記憶することが大事です。無意識に聞き流すのではなく、自分の頭と体にしっかり確実にインストールしましょう。

こちらも参考にしてください:Web会議で相手の英語がクリアに聞こえて成果を実感したUさんの実体験