海外で開催される学会の服装のマナーやポイントとは?
海外では日本の学会のようにスーツの人だらけ、ということはありません。逆に日本のように紺やグレーの地味なスーツだと男女ともにちょっと浮いてしまいます。
カジュアルでOKと言われても、「失礼だと思われたらどうしよう、、、」と思ってしまうのが日本人の性。男性でも女性でも、不安防止のためにジャケットを一枚持っておき、羽織っても羽織らなくてもOKな状態にしておくのがおすすめです。
靴もスニーカーで構いませんが、不安なら革靴を履いておきましょう。革靴だから浮くということはありません。女性ならワイドパンツを履いておけばスニーカーっぽさを隠すことができます。国際学会は会場が広いことも多く、不慣れな場所なので意外と歩くことが多いのです。歩きやすい靴で行くのがおすすめです。
一部の医療系やサイエンス系の学会など、よほど格式が高い学会でない限り、日本のように服装に神経質になる必要はないでしょう。以上が、ざっくりとした説明です。

以下では、ケース別に具体的な説明をし、イメージ図も紹介します。
この記事の最後には、自分が浮かないかどうかチェックできるノウハウも紹介しますので最後までぜひ読んでみてください。
1. 国際学会での発表者の服装は?
男女共に、ビジネスカジュアルと思っておけば間違いありません。男性であれば発表の時だけジャケットを羽織っておき、女性はワンピースまたはブラウスやカットソーにスカートかパンツ、不安ならジャケットを羽織ると良いでしょう。
2. 座長(チェア)の服装は?
座長はある程度それらしいというか、格式ある雰囲気を醸し出す必要があるので、夏でもジャケットは羽織れるような格好をしましょう。
男性はネクタイまでする必要はありません。ジーンズを履いているカジュアルな座長もたまにいますが、よほどのことがなければ避けた方が無難です。
女性も、ワンピースやカットソー+スカートかパンツでもOKですが、ジャケットを羽織っておくと格式が上がりますので、一枚持っていくと良いでしょう。






3. 一般参加者の服装は?
一般参加者、ただのオーディエンスとして参加する場合は、短パンにビーサンなどよほどカジュアルでない限り大丈夫ですが、日本人はとにかく浮きたくない、恥をかきたくないという気持ちが強いもの。
「ホテルのロビーでお茶していても恥ずかしくない格好」と思っておくとわかりやすいでしょう。
次は、セッション以外の場面での服装について紹介します。服装だけでなく、国際学会への参加を有意義にするための振る舞い方も少し紹介しますのでぜひ読んでみてください。
国際学会 レセプションやパーティの時の服装
国際学会は、国内の大きな学会と同様に3−5日間開催され、中日の夜にGala Dinner(ガラディナー)と言われる合同食事会みたいなものがあります。参加は自由ですが、ネットワーキングのためにも参加してみることをおすすめします。
また、初日のセッション終了後などに、夕方から短いカクテルパーティみたいなものも開催されます。ほとんどの場合、立席スタイルで、軽食程度しか出ないことが多いです。そこで意気投合した人同士でそのままどこかへディナーに繰り出すこともよくあります。
レセプションパーティはセッションの時の服装でOKです。Gala Dinnerは、男性の場合着替えてめかし込んで参加する必要はありませんが、女性は少しドレスアップする人が多いし、ヨーロッパではかなりパーティな服装の人もいるので、セッション参加時より20−30%ドレスアップできる格好にしておくと便利です。
私は、セッション時は薄い素材のワンピース(イッセイミヤケのプリーツプリーズが多い)に柄物のジャケットを羽織っておき、ディナーの時はジャケットを脱いで鞄に入れておいた薄手のショールをかけたりして変化をつけます。アクセサリーをつけるのもいいでしょう。
セッションが終わるのは大抵17時前後で、ヨーロッパならレセプションパーティが19:00スタート(ダラダラ集まり始めて、ダラダラ終わります)、Gala Dinnerは早くても20時から20:30開始が一般的です。
セッション会場からホテルが近ければ、一度帰って荷物を置き、少しドレスアップしてくるのもありです。特にレセプションパーティは立食だし、Gala Dinnerも大人数で荷物を置く場所は限られています。軽装で参加できるようにするとスマートです。
国際学会、セッション以外の場での振る舞い方
海外で研究仲間を作っておくと、情報も色々入ってくるし、仲間作りをしておいて損はありません。せっかく国際学会に参加するのだから、日本から一緒に行った仲間とつるんでいないで外国からの多様な参加者とお友達になりましょう。
私が海外の学会でいいなあ、と思うのは、関係性が日本よりひらけていてフラットであること。同じ研究テーマという共通の話題があるので、話もしやすい環境です。また、英語は日本語に比べて上下関係をあまり感じずに話すことができるので勇気を出して自分が普段から思っていることを議論してみてください。
ただ自己主張をするだけでなく、相手の話を聞くことももちろん大事です。あと、質問上手になれるとコミュニケーションの質が上がり、研究者としての可能性に広がりがでますよ。
ただでさえ海外の学会で緊張しているのに、「外国の人と英語でディナーだなんて、、、」と躊躇してしまうかもしれませんが、国際学会発表をして研究者としてやっていこうとするのなら、避けては通れない道です。
一人で参加した場合、心細いですよね。人のセッションなどに積極的に参加して、顔見知りを作っておき一緒に参加するといいでしょう。参加するだけでなく、質問したり意見を言ったりして、セッションに貢献し、存在感を示しましょう。
場数を踏んで度胸をつけましょう。せめて服装だけでも自信を持てれば少しは気が楽になります。以下では、服装で失敗しないための準備に役立つ方法を紹介します。





国際学会で浮かないための事前チェック方法
参加する学会のサイトで調べる方法
最も安心なのは、参加する学会の雰囲気に合わせること。学会サイトで、多くの場合過去に開催された学会の写真が見られます。写真をみて参加者の服装を見れば雰囲気がわかりますので、事前にチェックすると良いでしょう。
インスタグラムやGoogleイメージで調べる方法
インスタグラムやGoogle画像検索などで、academic conference +attire, dress code, gala dinner, lunch, receptionなど場面別のキーワードで検索すると、色々参考になる画像が出てきます。便利な時代ですね。






服装、見た目に気を遣うのは自分のためでもある
なぜ服装や見た目に気を使う必要があるのでしょうか?これは私の考えですが、相手に対する気遣いでもあり、自分に自信を持つためでもある、というのが理由です。海外は日本と比べると様々な価値観の人がいるので、「他の人と同じである」ことをあまり求められません。ただ、そのコミュニティの一員である、一員であろうとしているという姿勢を見せることで相手も受け入れてくれやすくなるのではないかと思います。
参加する場がカジュアルな人が多ければ、なんとなく自分の許容範囲でそこに合わせようとする、という気持ちがあればいいのではないでしょうか。慣れない場でオドオドしたり、不安を感じて萎縮し、コミュニケーションに支障が出ないように、せめて服装くらいは自信を持てるように準備して参加しましょう。
私は、ブランド戦略とかデザイン関係の学会に参加することが多いので、自分が日本から来たブランド戦略の研究者だということを説明するためにも、日本製とわかりやすい服や持ち物を身につけるようにしています。そうすることで相手に覚えてもらえるし、会話が盛り上がるからです。
それが自分のスタイルにもなって、自信もつきます。学会のセッション中はもちろん、ランチタイムや休憩時間、カクテルパーティの時やガラディナーの時も色々な人が話しかけてくれて、とても便利です。
こういった話のきっかけになるアイテムを「conversation piece カンバセーションピース」と言います。
国際学会でウケがいい日本の洋服
海外の人に評判がよく、カンバセーションピースにもなってくれる日本のブランドを3つ紹介します。
ユニクロは世界中の人が大好きな日本が誇るブランドです。洗濯できるソフトジャケットから、着心地のいいカットソー、一枚で着られるシャツやチノパンなど、国際学会にぴったりなアイテムがたくさんあります。
ベーシックなものが多いので、パッと見でユニクロだと気づいてもらうのは難易度が高いかもしれませんが、「おしゃれ」と言われて「実はユニクロなんです」という会話になるとかなり優越感に浸れます(笑)
ユニクロっぽいソフトジャケットとカットソーのコーディネイト
日本は手頃で品質が良いものを作るのが得意ですから、ユニクロをおしゃれに着こなして、海外の学会で自慢するのはそてもおすすめです。
ユニクロがどんな企業なのか、英語で説明できるようにしておくとパーティの会話に困りませんよ。
無印良品もMUJIとして海外で大人気。ユニクロと同様にシンプルでカジュアルにもややフォーマルにも着られる便利なアイテムが手頃な価格で手に入ります。洗えるジャケット、シワになりにくいシャツなど、男女共にシンプルだけど色々にコーディネイトできるものが多くあります。
こちらもユニクロと同様で、パッと見て「あなたMUJIを着ていますね!」と気づいてもらうのは難しいですが、カンバセーションピースにはなり得ます。海外の人は初対面で会話のきっかけを作るときに洋服や身につけているものを褒めることが多いので、褒められたら「実は全身MUJIなんです」などと説明すると、そこから会話が盛り上がります。
無印良品(良品計画)も海外で知られていて人気がある日本企業です。企業戦略や経営者のエピソードなど、学者として語れるネタを持っておくと会話が盛り上がりますよ。
イッセイミヤケ(プリーツプリーズ)
これは主に女性向けになりますが、日本を代表するグローバルデザイナー、イッセイミヤケのプリーツプリーズシリーズは、本当に国際学会におすすめです。
そもそもプリーツで形状記憶しているのでシワにならないし、カジュアルにもフォーマルにもいけるし、軽くて手洗いできてすぐ乾くので、旅行にピッタリ。
また、海外の人たちはプリーツプリーズを知っていて、大好きな人が多く、着ているだけで必ず話題になります。ユニクロや無印良品に比べると単価が高めですが、1回買うと10年以上着られますから、実際にはそんなに高い買い物ではなく、むしろ安上がりでしょう。コーディネート要らずで、おしゃれに見えるのでいいことだらけです。
上も下もプリーツシリーズだとやりすぎな感じがするので、私はジャケットやカーディガンなど羽織ものは別のブランドのものにしています。ユニクロのソフトジャケットや、街着としてならカラフルなパーカー、カーディガンなんかもおすすめです。
男性がプリーツシリーズのジャケットやズボン、カットソーを着ていたらとてもおしゃれで、会話が盛り上がること間違いなし!
かつては海外に行くとソニーやホンダの話をする人が多くいましたが、若い世代はユニクロ、MUJIといった身近なブランドの話の方が盛り上がります。
スニーカーを履くなら、アシックスとか、オニツカタイガーも海外で人気です。それぞれ個性がある経営やものづくりをしている企業ですから、英語で説明できるように予習しておくといいですね。
【まとめ】学会参加時の服装は、自分のためにも無難&自信を持てるコーディネートで、少し日本を意識した格好をする。
海外の人と英語でディナートークをするというと緊張してしまうし、何を話したらいいかわからない、という人も多いでしょう。このように、身につける物を工夫して、それについて語る準備をしておけば1時間半くらいどうにか乗り切れますよ!
