秋はいつも学会発表とかビジネスのプレゼンテーションをする人が集中します。
今年は9月下旬から10月上旬にかけてプレゼンの英語を練習したい人が3人いて、私も色々忙しくなりました。生徒さんが英語でプレゼンをするとなると、私は自分の娘や息子の発表会に送り出す母親のような気持ちになります。
ただプレゼンするだけでなく、良い評価を得て、いい思いをしてもらいたい。
ビジネスや学会の発表を成功裡に終わらせるというのは大前提ですが、あわよくば、「英語発音やってて良かったな」「自分が今まで努力してきたことは無駄じゃなかった」と思って満足感を得ていただきたい。
そう思いながら、できる限りのサポートをします。
皆さんプレゼンを終えると、忙しいのにメールなどでご報告をくださって、とても嬉しいです。
先日、海外の大きな舞台で30分、専門分野に関するプレゼンをやり切って帰国した生徒さんから嬉しいご報告メールがありました。
原稿を見ないで話し続けることはできなかったものの、要所要所でオーディエンスの方を見ながら発表も無事にやり切ったそうです。参加していた外国の人たちからは、他の日本から参加していたプレゼンターと比べても英語がとても上手だったと評価していた、と人づてに聞いたそうです。
この「人づてに聞いた」というのがポイントです。本人に誉めたのならお世辞の可能性もなくはないのですが、わざわざ他人に「あの日本人は上手だ」と言う必要はないのに、誉めたと言うことは本当に評価されたっていうことですよね。
よく「本当に英語が上手な人だったら、ネイティブはわざわざ誉めない。ネイティブに誉められるのはまだまだ英語初心者の証拠」のようなことを言う人がいます。人によって程度は違うと思いますが、私は「本当に上手なら、違いがわかる人は褒める」が本当だと思います。あと、人づてに聞いた場合も、本当に誉めていると思います。
日本人の英語があまり上手でない、特に発音がおかしくて何を言っているのか理解するのに苦労すると言うのは悲しいことに有名な話。だから、一発で英語に聞こえて、何を言っているのか理解しやすい英語を話す人を、ネイティブ達は誉めます。かなり英語上級者が誉められているのを見たこともあるし、私も誉められることがあります。
私の場合、「英語がネイティブみたいだ」と誉められるのではなく「あなたの英語はスーパークリアで、ものすごく楽に理解できる」とか「言っていることがとても理解できる」「コミュニケーションするのが楽で楽しい」と誉められます。
他の記事にも度々書いていますが、私が自分でもやっていて、皆さんにも教えているのは「ネイティブみたいな英語」ではなくて「誰が聞いても一発で理解できて、きちんと教育を受けた人に見える英語」です。
「クリアでわかりやすい英語」と言われるのは大変嬉しいことです。自分が目指している通りの姿で評価されています。そして、私から英語発音矯正のレッスンを受けた生徒さん達も同様です。
彼女のプレゼンはとにかく壮大なもので、日本のある業界を代表して海外に行って、多国籍な大人数の前で1人英語のプレゼンテーションをすると言う大役。専門資料を英語で読んだりすることは日常的という生徒さんですが、会話やプレゼンはあまり経験がありません。
長すぎて何年か忘れましたが、多分7年以上レッスンを受けてくださっているし、とても地道な努力家なので、音がとてもクリアで素晴らしい発音の彼女。どこに出しても恥ずかしくないプレゼンができる実力はバッチリ。
30分のプレゼンだから、本番までに、2コマ連続のレッスンを2回くらい受けていただいたら余裕だろうと思っていました。でも、日本でやったリハーサルで、上司からかなりダメ出しを喰らって落ち込んだり、結構大変でした。
日本人で仕事上の英語ができる人は、英語プレゼンテーションのプロでもなければ、英語指導の専門家でもありません。ダメ出しの内容を聞くと、「それはあなたの主観」と言いたくなるような内容が大半です。
でも言われる側は、自分より英語が上手だと思っている相手とか、立場が上の相手から言われると気にしちゃうし真に受けてしまいますよね。もちろん、的を得ている指摘なら受け入れて改善すべきですが、そうでもないことが多い。
客観的にプレゼンテーションの内容を見て、質の改善になるようなアドバイスをするのが私の役目です。
社内でのダメ出しに対しては、対処の仕方をお伝えし、改善点もどこをどうしたら良いのか方向性をお伝えして、プレゼンテーションのスライド内容はもちろん、スクリプトも時間内に終わって、言いやすくて、メッセージがきちんと伝わるように改訂を重ねるところまでお手伝いします。
今は、AIサービスなどで英文添削が楽になりましたが、それも「こんな姿形にしたら良くなる」と言うゴールが見えているからうまく活用できるのです。AIサービスを使って原稿のお直しもして差し上げています。(保証ではないけど、結果的に毎回してます)
私が原稿お直しで気をつけていることは色々ありますが、代表例は以下のようなことです。
良い英語プレゼンテーションの原稿を作るためのポイント
なるべく原文(本人が作った文章)に近い形、語彙を生かしたまま英語らしさを出す
ネイティブライクな英語に大改造してもいいのですが、そうすると本人が知っている英語表現と乖離して、本番でナチュラルに話すのが大変になってしまうので、私は意思伝達に支障がない範囲で原文、元の表現を生かしたお直しをするようにしています。
長い文章を、可能な範囲でいくつかに分ける
日本人が作るプレゼンスクリプトは、一文が長くなりがちです。あと、主語がとても長くて頭でっかち、バランスが悪くて読みにくい文章を作りがちです。その辺りを、本来の意味を損なわないレベルで分けたり言い換えたりします。
社内の風習(日本語英語で、外国人には通じないけど社内では良しとされている英語表現)は、上司や組織の人の機嫌を損ねたり雰囲気を壊さないように、バレない程度に変更する
これは、社外の人にとっては無意味かつ甚だ迷惑なのですが、日本の人たちにとって「こういう表現を良しとする」みたいな思い込みで、使うのが習慣化している表現は結構あります。
外国の人にとっては意味がしっくりこず迷惑なのですが…。こういった悪文、悪い表現をバッサリ切ったり変えたりすると、プレゼンテーションをする人(生徒さん)の立場が悪くなる場合もあるので、全体の景観を損ねない程度に残しておくなどの工夫をします。プレゼンを成功させることも大事ですが、そのせいで日本国内で上司や他の人からの心象が悪くなっては元も子もありません。
生徒さんにとって最も良い成果物が得られるよう、プレゼンのお直しから英語表現の再構築やお化粧まで徹底サポートします。
さらに、プレゼンの英語を練習するときも、読み方を直すだけでなく、時間がなくてもいかに「原稿を見ないでプレゼンをしている風を演出するか」といったテクニックまでお教えします。それにはいくつか大事なことがあります。
英語プレゼンテーションで、原稿に頼ってない雰囲気を短時間で出す方法
2−3行に1回くらいは、聴衆の方を見る
英語があやふやな部分は、原稿から目を離したくないですよね。
absolutelyのような何かを強調する副詞、thereforeのような転換語、essentialのようなポイントであることを示す簡単な単語、など、原稿を見なくても言えて、何かを強調してオーディエンスと目を合わせやすい部分で語りかけるように聴衆を見るのがおすすめです。
どこで聴衆を見るのかだけでなく、単語に合わせてどんな表情や身振り手振りを使うといいのかなど、細かいことまでお伝えします。
原稿から目を離した後、原稿のどこに戻ってくるかわかるように原稿に工夫をする
聴衆を見たはいいけど、また原稿を読もうと視線を戻した時「あれ?どこ読んでたっけ?」となってパニックになる。大変よく見かける不慣れな英語プレゼンターの光景です。

このような悪夢的状況にならないたための工夫もお教えします。
色々やり方はありますが、一文ずつ、黄色でマークしたり、番号を振ったりしてすぐにどこに戻ればいいかわかるようにすると言ったテクニックがあります。たいしたテクニックでもないのですが、意外と重要です。
スライドに書いてある固有名詞などを読むときは、原稿ではなくスライドを見ると、原稿棒読み感が薄れてこなれたプレゼンをしている雰囲気を出すことができます。
その他に、スライドからスライドに移行する時に、効果的に聴衆の注意を惹くテクニックなどもお教えしながら、少ない準備時間でも堂々と、慣れた感じで英語のプレゼンテーションができるようにご指導します。
また、原稿の長さにもよりますが、飛行機の中や自宅で練習できるように、お手本の音声ファイルをお作りすることもあります。
原稿お直しから録音まで入れると、レッスン以外に数時間の手間がかかります。が、結果的にいつも信頼関係ができている生徒さんにはこのようなサービスを無償で提供しております。
私も国際学会や海外のサミット、カンファレンスなどで発表や司会進行、座長などを務めてきた経験があるので、発音指導以外に全体的なアドバイスと指導をすることができるのです。これは、一般的な英語の先生とか英語コーチみたいな人にはあまりできないレベルのサービスだと思います。特に、ビジネスかアカデミックどちらかだけならできる人はいるかもしれませんが、両方できる人はそんなに多くないはずです。
と、こんな感じのフルサポートで、無事にプレゼンテーションが終わることを祈っておりました。
帰国してご報告のメールをいただき、成功したことがわかって本当に嬉しかったです。
「またこのような機会をもらえるよう頑張りたい、1人では絶対乗り越えられなかったけど、杉本先生の直前までのご協力があって乗り越えられました」と言っていただき、肩の荷がおりました。
他の英語学校がどこまでプレゼンのサポートをしているのか知らないので比較のしようがありませんが、私が提供しているサポート範囲を人に言うとびっくりされます。良い意味で。
「え、そんなことまでやってるんですか?」「そこまでしてくれるんですか?」と言われることが多いですね。「ここからは発音レッスンの料金外の無料サービスですよ」みたいな恩着せがましいことは言っていませんが、メントール英語発音教室ではそれが標準です。
読んでいただいたらおわかりと思いますが、かなり手厚いし、範囲が広く深いです。そこまでして欲しいと頼まれてないし、私もそこまでやると保証はしてません。状況によってはできない場合もあるかもしれないし。でも実態としては、今まで全ての人に、毎回同じくらい手厚くサポートしてきました。
過去には色々な人の「間違えてパーツを配置した福笑い」や「バラバラに切断された死体」みたいな論文/志願書を蘇生させて形にし、論文は審査にパスできるように、志願書は合格するようなレベルに持っていった経験があります。
このように、メントール英語発音教室では、発音矯正だけではなく、私の経験とノウハウに立脚した全包囲網的なサポートを提供しております。通っていただいているみなさんは、プレゼンがあっても心配しないでくださいね!ドーンと大船に乗った気でいてください。
