学会では、発表をした後に必ず「質疑応答」の時間があります。
オーディエンスとして参加した人は、なるべく質問をするようにしましょう。座長は、質問するのがマナーというか義務だと言っても過言ではないでしょう。ただし、オーディエンスから質問がたくさん出て盛り上がっていたら、質問は控えたほうが良い場合もあります。
私は、座長をしてくださる先生方は国内外問わず本当に偉いと思い、感謝しています。
彼らは会場から質問が出ない場合、何かしら質問を捻り出して、「あなたの発表内容には何かしら意義がありますよ」という態度で臨んでくださいます。
どんなに退屈な内容であっても、自分の専門外分野の発表であっても。
人の論文読むだけでなく、質問をいくつも考える能力と労力は、すごいです。
もし学会発表をして、質問をしてくれる人がいたら、当たり前のこととして捉えず、感謝の気持ちを示しましょう。
そして、座長は臨機応変に。
日本の学会と国際学会、質疑応答マナーの違い
学会によって差があるとは思いますが、質疑応答の内容というかマナーが、日本と海外では少し違います。一例として、紹介しますので国際学会に参加したことがなくて不安な方は、参考にしてください。日本と同じやり方だと思っていると、的外れな問答になってしまいますので。(日本が悪いというわけではなく、批判するつもりはありません。ただ違うというだけです)
お礼のマナー
質問されたら、質問してくれたことに対してお礼の言葉をまず述べましょう。
これは国際学会でも同じです。
質問のお礼でよく使う英語フレーズ
質問ありがとうございます。
Thank you for your question.
いい質問ですね!
Good question.
(その質問を)してくれてありがとうございます。
Thank you for asking.
日本の場合、最もよく使われるのは、「的確なご指摘(ご意見)、ありがとうございました」または「ご質問いただき、ありがとうございました」と、いうあたりですね。 質問者は名乗るのが礼儀なので、質問者が名乗った時に、名前をメモまたは暗記します。答える時に、Thank you for your question, Dr. xx. と名前を言えると理想的です。

呼称のマナー
そして、相手が誰であろうが「XX先生」と呼びます。なぜか、日本の学会ではこのようなマナーが標準のようです。先生と呼ばれて恐縮する人はいても、怒る人はいませんから、無難です。
海外ではこのような習慣はありません。博士号を持っている人が相手で、そのことがわかっている場合はDr. xxと呼んだり、Professor. xxと呼んだり Mr. xx Ms. xxと呼びます。女性の敬称でMissやMrsのように婚姻状態がわかる(個人情報がわかる)表現は使わなくなっています。ニュートラルな表現のMs.(ミスではなくミズ、発音に気をつけましょう)が最近のスタンダードです。
質問確認と答える時のマナー
「先ほど、XX先生にご指摘いただいた点については~」のような感じで、質問や指摘の意図を確認しつつ、答えましょう。
あなたの答えに対し、多少腑に落ちないコメントをされても、言い返したり論破しようとせず、頷きながら聞いて、メモなどもとり、「貴重なご意見を賜りましてありがとうございます。今後の研究の参考にさせていただきます」と締めます。
このような締めの言葉は、国際学会ではあまり使いません。
国際学会と日本の学会で私が感じた大きな違いは、表現と態度のレベル感です。
日本は、なんというかすごく平身低頭という感じがします。
国際学会は、相手が教授ではこちらが修士課程の研究者だろうと、そんなに大仰に「貴重なご指摘を賜り、、、」とかそういった間接的な表現は使いません。
単に質問にお礼を言って、質問に答えておしまいです。
シンプルでいいですね。
私は英語の質疑応答の方が中身だけでいいので好きです(笑)
日本語の学会だと、いつもと違って猫を被らないといけないので、日本語が堅苦しくなりすぎて、軍人みたいな表現になっているなあといつも思います。
「〜です」と言えばいいのに、「〜と、このように愚考している次第でありますっ」と言わないといけないような気がして、そう言っちゃってるんです。
質疑応答でよくある悩み
「英語の質問表現がわからない」「何を質問すればいいかわからない」
この二つは、よくある悩みです。どんな分野でも使える一般的な質問と質問の英語フレーズの代表例を紹介しておきます。
内容を明確にする質問:Clarification Questions
[特定の用語/ポイント]についてもう少し説明していただけますか?
Could you please explain [特定の用語やポイント] a bit more?
特定の用語やポイントをもう一度言うのが難しい時のために、「スライドのxxページについて」や「スライド番号やxxページにあったxxの図」のように、スライドを特定しながら聞くと質問の英語に自信がなくても相手に伝わりやすくなります。 プレゼンテーションを聴きながら、スライド番号や図表の番号をメモしておくと便利です。
[特定のトピック]に関するあなたの発見に興味があります。それについて詳しく教えていただけますか?
I’m interested in your findings about [特定のトピック]. Could you elaborate on that?
メソッドに関する質問:Methodology Questions
なぜこのメソッドにしたんですか?
What led you to choose this particular methodology?
あなたのメソッドは[別の方法]とどのように異なりますか?それはなぜですか?
How does your methodology differ from [別の方法の名前], and why?
示唆と応用可能性についての質問: Implications and Applications
この質問は、発表本体がどんなにつまらなくても(笑)興味がなくてもできる便利な質問です。
座長は、何も質問が出なかった場合この質問をすることが多いです。ですから、発表者はこの質問は必ずされると思って答えを用意しておく必要があります。
あなたの研究から得られる主な示唆は何ですか?
What do you see as the primary implications of your research?
あなたの発見は[特定の分野や文脈]でどのように応用されると思いますか?
How can your findings be applied in [特定の分野や文脈]?
ただし、この二つは発表内で言う人も多いので、発表の中で言っているのに質問しないように気をつけましょう。
他の研究との比較質問:Comparative Questions
あなたの研究は[関連する研究や理論]とどのように比較できますか?
How does your work compare to [関連する研究や理論]?
日本語訳がちょっと固くて不自然になってしまいましたが、要するに、「既存研究とどう違うのか」と聞きたい時はこんな表現を使うと良いでしょう。
以下3分野も、何も質問が出なかった場合に座長が聞くことが多い質問です。
発表者はこの質問は必ずされると思って答えを用意しておく必要があります。
今後の研究: Future Research
あなたの研究の次のステップは何ですか?
What are the next steps in your research?
この分野で今後どのような研究が必要だと思いますか?
What future research do you think is needed in this area?
個人的な洞察: Personal Insight
このトピックを研究することになったきっかけは?
What inspired you to research this topic?
意外と大事な情報だと思うのですが、論文本体やプレゼンテーションで述べる機会がなかなかないので、質疑応答ネタに取っておくのも良い作戦です。そこから新たな研究ネタが生まれたりもします。医療系だと、現場での実体験から研究対象や被験者グループを選定することもあるようなので、論文やプレゼンテーションの中に混ぜやすいでしょう。私は医療系の研究者や医師の方の英語学会発表のプレゼン英語発音矯正をする機会がありますが、実際に、述べているのを何回も見ました。
(研究が及ぼす)影響と重要性: Impact and Significance
あなたの研究が[特定の分野]にどのような影響を与えると思いますか?
How do you think your research will impact the field of [特定の分野]?
あなたの研究の最も重要な発見は何ですか?
What is your research’s most significant finding?
学会で質問上手になるためのコツ
質問を乗り切る
質問を想定し、準備しておく
質問英語表現の決まり文句を覚えておく
他のセッションや動画で質疑応答をたくさん観る
上記で紹介したような質疑応答の英語フレーズを覚えておく他に、YouTubeなどで国際学会、英語のカンファレンス動画を見てシミュレーションしておくのも役に立ちます。
私は、初めて国際学会の座長をやることになった時、マニュアルがなくて困ったので、YouTubeでAcademic Conference session chairなどのキーワードで検索して、動画を観て質問方法をまねました。
あとは、自分が座長をするセッション前にその学会のセッションをたくさん観て回って心の中でリハーサルしました。
自分で自分に合う動画を見つけられない方は、単発レッスンを受講していただければレッスン時の相談内容を踏まえて私が良いものを選んでご紹介します。
質問力を上げることは、自分の研究能力を高めることにも繋がります。プレゼンテーションをよく聞いて、質問をするのは最低限、できたら良い質問をするようにしましょう。
分野やセッションの趣旨、発表の内容によって質問は異なるので、個別に相談したい方は、こちらの単発レッスンコースがおすすめです。

学会質疑応答マナーは基本、日本語も英語も同じ
発表が終わり、セッションが終わったら、座長と質問してくれた人にご挨拶&お礼に行きましょう。このあたりは、学会でなくても基本だと思いますが、教わる機会がないと思うので、書いておきました。
結論:
学会の質疑応答マナーは基本的に英語も日本語も同じです。でも、ちょっとだけ表現方法やお作法に違いがあるので、事前にしっかり準備しておけば英語が完璧でなくても大丈夫です。
長い記事になりましたが、お役に立てれば幸いです。

